アニメ『キノの旅』 心地よい暗さに共鳴する世界観

FOUR LEAF SOUND poetry soul Blog_kino

この間も、『斉木楠雄のΨ難』を紹介したけど、

Netflixをとりはじめたのをきっかけに、

日本のアニメがプチブームになってる。

ドラマや映画と違って、

芸能界事情みたいなものが、そこまで見えないから、
(きっと声優業界のいろいろはあるんだろうけど。。)

純粋に、お話の内容を楽しめる気がする。

もちろん、アニメ独特の。。なんだろ、ありえないイケメンぞろいとか、
ありえないナイスバディなお姉さん達とか。。
(特に胸の大きさがハンパない!!)

いろんな願望がキャラクターに反映されすぎちゃった。。みたいな感じは、
今も苦手だけど、

でも、その願望も含め、
ありなんだろな。。と思えてくる。

まぁ、、慣れ。。か。。

今回ご紹介したいのは、『キノの旅

お話がめっちゃめちゃいい。
暗いけど、その暗さが心地よい。

もともとは、時雨沢恵一さんによるライトノベル。
原作も読んでみたいなって思う。
(210話とかあるらしいけど。。)

いろいろと評価されて、
ファンも多いみたい。

アニメは、2003年版と、2017年版がある。
自分はどっちも好き。

それぞれに、おもしろさがある。

お話は、「キノ」と名乗る子が、
バイクに乗って、いろいろな国を旅するお話。

このバイクがしゃべる設定で、
キノのよい相棒。

旅をする国は、いろいろで、

国ごとに、いろんな特徴がある。

殺人が合法な国。
相手の心が聞こえる国。
船の国。
病を治すために人体実験をしている国。

架空の国の、ファンタジーな設定だけど、

どれも、人間社会のいろいろな性質や傾向が描かれてる。

ヘンテコな法律をつくったり、
テクノロジーを使ったり、

何かを解決するために、
それぞれの国の人たちが、いろんな生き方を選んで暮してる。

その暮らしぶりを、キノが3日間だけの滞在を通して、

見てまわる。

扱われているテーマは、軽くはないけど、

キノの、全てを受けとめて、でも感情的になりすぎない姿勢が、

いい感じで中和してくれる。

相棒のバイク、エルメスは人の心がわからないので、
結構な悲劇が起きていても、

ただ、たんたんと事実を話す、

その感じも、
いいクッションになってる。

きわめて感情的なサブジェクトを、

この2人がクールダウンしてくれる。

見ていて、ちょっと「星の王子様」を思わせる。

外からきた、旅人の視点からみると、
何か他にいい方法あるでしょ、って思うし、

残酷で、ひれつだ、と思う出来事もおこる。

でもその国の人たちは、

その生き方を、心から「正しい」と信じてる。

信じているけど、どこか、憂いをおびている感じもする。

自分が好きなのは、

そういう人間社会のサガを、

非難するでもなく、
悲観的に描くわけでもなく、

まだ子どものキノが、旅をするストーリー、
として描写しているとこが、

なんか、すごく共感する。

「責め」とかじゃなくて、
結論づけるんじゃなくて、

でも、人間って、こういうとこあるよね、って提示。

お話の暗さが心地いいのは、そういうのが理由かもしれない。

すでに、自分の中にある「暗さ」と、ただ共鳴する。
それを許してくれる描き方。

サブタイトルが、

“The Beautiful World”
「世界は美しくなんかない。そして、それ故に美しい。」

この作者は、人間社会のいろいろを含めて、この世界が好きなのかな。。と思う。
だからこそ、暗い部分も描ける。
いろいろあるから美しい。。

FOUR LEAF SOUND と少し似てる。

悲しくて、みにくいものを見つつも、
キノが、旅を続けられるのは、

この世界が美しいと思える。。
だからなのかな。。と、少し思った。

きっと、人が好きなんだな。。

キノと一緒に、人間のいろいろを、旅して見ていくアニメ、『キノの旅』。

よかったら、見てください。

 

by Murabayashi