ブラックミュージックのグルーブ感覚 (2) アフリカ文化の圧倒的なグルーブ認識

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前回の記事、ブラックミュージックのグルーブ感覚 (1) はずせないアフリカンドラムへの理解の続編です。

ブラックミュージックを演奏するうえで、

絶対に理解しておきたい、
アフリカ文化にあるグルーブ認識。

FOUR LEAF SOUNDにとって、

グルーブは、
言葉をお届けする大切な媒体。

そのグルーブについて、思うところをシェアしようかな。。と思うのですが、

ちょっと、説明多な記事になるかと思います。。

続編は、ガーナに行った時の体験から。

ガーナの人にとって、ドラムは言語。
(アフリカの多くの民族がそうかな。。)

ドラムにもいろんな役割があるわけだけど、

ガーナでは、
ドラムを使って、遠くにいる人と意思伝達をしてきた歴史がある。

私たちが、言葉で意思を伝えるように、

ビートの鳴る間隔の違い=リズムの違いによって、
伝達内容を識別できてしまうので、
(「トーキングドラム」と呼ばれるドラムは、高低差もふくむんだけど。。)

私たちが認識している「リズム」よりも、

もっと明確なものが、そこにはある。

言葉で説明すると、かなりややこしいけど、

「ポン」ってドラムをたたいて、
次の「ポン」までの空間の違いによって、

「リズム」っていうものが作り出される。

その、ビートとビートの間隔の違いが、

アフリカンドラムでは、すごく重要。

西洋の、楽譜上の表記では、同じになるであろう、
2種類のビートも、

日本語の「あ」と「い」が別物のように、

彼らにとっては、全く別のものだったりする。

ガーナへは、バークリー音大に在学中、
教授と学生有志たちと一緒に行った。

ドラミングとダンスを学びにいったんだけど、

一緒に行った教授は、 「マスタードラム」を教えてもらっていて、

アンサンブルをリードするための、
いろんな「コール」

(決まったリズムパターンで、
他のドラマーやダンサーに、合図を送る。)の特訓をうけてた。

まさに、リズムで話さないといけない役なんだけど、
教えてもらっている間、

周りで遊んでいる子どもたちに、

「それは違う」
「それも違うよ」って、

何度も何度も指摘されて、
その「違い」が彼には理解できず、

本気で 、

“what!? why!?”

ってキレかけてた。
(まじでキレかけるところが、アメリカ人らしい。。)

白人の彼には、

楽譜上の表記が一緒であれば、
一緒でしょ、って認識だったわけだけど、

ガーナ人の彼らには、

楽譜上は同じリズムでも、

彼のたたいているリズムは、
全く違うものだった。

彼らにとって、
リズムは、

私たちが「あいうえお」の文字を認識するように、

はっきりと、区別できるものだし、

小さな子どもでも、少しの違いに、すぐ「間違いだ」とわかる。

「ちょっと違うね」じゃなくて、

「間違い」って認識。

「なんで違うの?」って問いに、
答えられるものでもない。

私たちが、「あ」と「い」がどうして違うのか、
答えられないのと一緒で、

その「違い」を説明はできない。

ただ、「違うもの」として、
存在してる。

それを、理論的に説明しようとするのは、

なんか、無粋な感じがしてしまう。

ただ「違う」

その感覚を、
そのまま、もっておきたいと思っちゃうんだけど。。

anyways, アフリカ文化のグルーブ(リズム)認識は、

楽譜では区別できないものも、
「違う」と認識する、

ある意味、

すごくリズムセンシティブなもの。

そんな文化を源としている音楽が、
ジャズ、ヒップホップ、ソウル、ファンク、ゴスペル。。。etc

黒人以外の人種にも、多くファンをもつゆえに、

アフリカ文化のリズムに対する、鋭い感覚は、
こういう派生したジャンルでは、

「言語認識」ほどに、

正解・不正解はない。

でも、D’AngeloGlasper、尊敬するアーティスト達のグルーブ感を聞いていると、

確かに、正解・不正解がある。

「オンなのか」
「オフなのか」って認識が存在する。

バークリー音大でも、黒人の先生のアンサンブルでは、

2時間の授業を通して、ドラムとベースのグルーブを「正しくする」
みたいなことが、しょっちゅうあった。

2時間ずっと、ドラムとベースにグルーブをたたかせて、

“no” /「違う」
“yeah, right! ride on!!”/「そう、そこ!」

って、どこが「正しい」のか、理解させる授業。

何が違うのか。。とか、そんな説明は全くない。

ただ「違う」んだ。

ほかの楽器の人たちは、それをずっと見てる。

「正しい」グルーブのなんと心地いいこと。
「違う」ときは、確かに、違和感があって、クリックしない。

グルーブが「正しい」ところにないと、

教授はマジで怒って、不機嫌になってた。

逆に、「オン」してると、めっちゃめちゃ機嫌がよかった。

ブラックミュージックにあって、グルーブはそれほど大事。

学生たちは、みんなそれを見せつけられた。

D’Angeloも、 “Voodoo”ってアルバムを作ってるとき、

あのQuestloveに対して、

「そのグルーブは違う。」って言って、
自分の思うグルーブをたたけるまで、ずっと、

「それは違う」とか、

ひたすら、そんなことをやってたらしい。

FOUR LEAF SOUNDのビートも、

ちょっとした「オン・オフ」で、説得力が、 ガラリと変わる。

自分にとっては、その違いは、やっぱり、

正解・不正解。

そういう、アフリカ文化からくる、

グルーブ/リズムの奥深さに、
それを生みだしてきた彼らのすごさに、

いつも圧倒されて、
尊敬がやまないfourleafです。

 

by Murabayashi

 

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